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訃報 研究者 野原千代さん

更新日:2019年3月14日

先日プランタン銀座のアロマテラピーフェアがはじまった矢先に知らされました。

野原千代(後千代)さんが急性心不全で急逝されたと。

千代さんは、2011年の福島原子力発電所の大事故のあと 放射能漏れの影響を「ヤマトシジミ」という日本に生息する野生の蝶々を通して研究された方です。

震災後の情報を追っている方は、その研究を聞いたことがあるかもしれません。

放射能被曝による生命体への影響。 この研究結果が発表されるやいなや、分かりやすく且つ衝撃的な結果は大々的に報じられました。

でもそれは「日本以外の、世界のメディアで。」

日本のことなのにね。

実は、千代さんとは昔ご縁をいただき、研究をされていた沖縄でお会いしています。

訃報を聞いた時は、

ずしん、と心臓が重くなって そのあとしばらくしてから、涙が出ました。

「今年は東京で会えたらいいね」

と、春にやりとりをしていたメールの温もりを

まだすぐ近くに感じられるようでした。

そして、一緒に過ごした時間で交わした会話が思い出されました。


研究に至るまでの経緯の他に、

研究に対する信じられない中傷や妨害の話、

どうしたらこれからの日本で身を守ることができるかなど。

そして、全国そして福一原発近くの危険地域ギリギリまで

ご主人と一緒に何度も往復してヤマトシジミを捕獲しに行ったこと。

そのため移動で使った車は放射線被曝で

数台廃車にせざるをえなかったこと。

ご自身も被曝覚悟で始めた研究。

線量の高い地域に頻繁に立ち入ったため

放射線の外部被曝で体調を著しく崩したこと、、、 (一時期、マクロビオティックベースの食事療法で随分楽になったとか・・)

たくさん、たくさん、想いと一緒に それこそ「命を削って」教えてくれた千代さん。

「福島第一原発事故による被曝とヤマトシジミの研究」で

一躍世界で有名になった千代さんですが、


震災以前も国家規模のプロジェクトに従事されて、

日本の行政や世界の様々な動きに精通されていた方でした。

でもぜんぜん気取っていなくて、

正直で、人懐っこくて、

美味しいものや可愛いものが好きで、

私は千代さんと一緒にいた時間がとても好きでした。


本当に、素敵な大人の女性でした。

全部暖かい時間だったな・・ 美味しいものを一緒に喜んで。

ムカつくことには一緒に怒って。 楽しいことには一緒に笑って。

「体調が落ち着いたら、こんど一緒にヨガしたい!」 そう言ってくれたのもすごく嬉しかったです。

震災がなければ、原発事故がなければ、 その力強い筋の通った生命力を、

未来の為のワクワクするような、もっと違う研究に使いたかったはずなのです。 わたしもそれを、みてみたかった。

急性心不全

震災後、これで亡くなる方が尋常でない数なのだとか。 千代さんは色々なことを覚悟した上で、

言葉通り自分を犠牲にしてこの研究を進められました。

千代さんの生前に縁をいただいたわたしは、

このブログに縁をもつ人に繋げたいものがあります。


それは「野原千代さんと彼女が遺した研究」を知ってもらうことです。

大事なものを日本や世界に遺してくれた千代さんに 表しきれない感謝を込めて。

以下はそのリンク一覧。 見るべし、です。

ネイチャー http://www.nature.com/articles/srep00570 ドイツ公共放送(日本語訳付) http://kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-914.html <論文・日本語要約版>  http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/abstracts/39035 Nature (2012年ソーシャルネットワークラニングTOP) http://blogs.nature.com/news/2012/12/what-were-the-top-papers-of-2012-on-social-media.html 「ヤマトシジミにおける福島原発事故の生物学的影響」 シュピーゲル(ドイツ) http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/fukushima-strahlung-fuehrt-schmetterlingen-zu-mutationen-a-849972.html BBC(イギリス) http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-19245818 ルモンド紙(フランス) http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html ルモンド紙(和訳) http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2012/08/blog-post_18.html ABC(米) http://www.abc.net.au/news/2012-08-13/fukushima-mutant-butterflies/4194240 CNN(米) http://www.youtube.com/watch?v=1yVNn0tlz5k FOX TV(米) http://video.foxnews.com/v/1786844712001/mutant-butterflies-reportedly-caused-by-japan-nuke-disaster

しかし・・・ こうしてみると改めて思う。 自分の国での研究や大事な情報を逆輸入しないといけないって、どういうこと?? (それだけ日本国民が知らされることにはバイアスがかかっているということ。どこかの隣国をばかにするかのような報道がよくされますが正直どんぐりの背比べです。)

そして・・・ こんなに大事な研究をしているのに 国内では心無い批判、中傷、妨害をする為に自分の命を使う、いい年をした日本の大人たちがいました。

そのネガティブで陰湿・卑劣なやりかたに、

千代さんは精神的にかなり参っていたのも事実です。

世の中のすべての中傷加害者に知ってほしい。

相手の命を軽んじたり足を引っ張ろうとすることほど 自分の命や自分のまわりの人をにぎり潰してしまうことはありません。

相手は狙い通り傷つき、ダメージや損害を被るように見えるだろうけど、 それがどれだけ、同じように自分をえぐっているか気付けないだろうか。

法にも裁かれず逮捕もされず、誰にもバレず、

咎められずにいたからって、それで安心するのはちがいます。


法や人が裁かなくても、この世の必然の法則があるからです。

相手を貶めようとした自分の行いは結局は自分の元へ、

もしかしたら何倍にもなって、形を変えて、返ってきます。

だからやめてほしい、わざわざ人を使って自分を蔑むの。

もっと違うことに、いまの限られた命を使ってほしい。

わたしたちは傷つけ合っている場合ではないですよね。

みんな幸せになってほしいし、なれます。

千代さん、本当にありがとうございました。

御冥福を心からお祈り申し上げます。


井出順子

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